シュレーディンガー博士の猫の足跡

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大きな古時計

この小説はポピュラー・ソング『大きな古時計』を原案にした二次創作小説です
非常に短い作品なので、肩の力を抜いてリラックスしながら読んでもらえるとありがたいと思っています
本文は追記から…

僕の家には大きな柱時計があった。
お爺ちゃんが言うにはお爺ちゃんが生まれた時にそのお祝いとして買って来て貰った時計らしい。
僕は、時計に対してそんなに知識を有している訳じゃない。
ただ、その薄茶けた体は年代物と言っても差し支えない、と言った所だろう。
その時計と僕が初めて出会ったのはもう十年以上も昔になる。
その当時の僕は、この時計が何であるか解らなかった。ただ、その不思議なベルの響きが大好きだった。
すると、何処からとも無くお爺ちゃんが来てはこの時計を自慢げに話すのであった。
何処の会社が作った事だとか、歯車がどうとか、材質がどうだとか僕にはさっぱりと解らなかった。
ただ、時折お爺ちゃんがこの時計の蓋を開けてゼンマイをキリキリと巻き直し、振り子を揺らしてチクタクと再び時間を告げさせる事だけは記憶にはっきりと残っていた。
お爺ちゃんは、いつも言っていた。“この時計はわしの自慢の時計でいつも一緒だ”と。
僕も、そう思っていた。お爺ちゃんは嬉しそうに時計を見ては昔の事を話し出す。
“あれからもう百年かぁ”
そんな呟きをお爺ちゃんが言った途端に、それに頷くかの様に時計がゴーンと不思議な響きを鳴らしたのであった。
不思議な事に、お爺ちゃんが結婚した時もこの時計はゴーンと大きな音を鳴らしたらしい。
お爺ちゃんは“それは時計が喜んでいる声だ”と言った。
不思議な事に、お婆ちゃんが亡くなった時もこの時計はゴーンと大きな音を鳴らしたらしい。
お爺ちゃんは“それは時計が悲しんでいる声だ”と言った。
僕はお爺ちゃんの言葉を聞きながらコクリコクリと頷いていた。
ある日の真夜中の事だった。いつもの時計がゴーンと大きな音を鳴らした。
僕は、直感でこれは“時計が泣いている声”と思った。
どうしてそう思ったのかは定かでは無い。けれども、僕にとってはその時計が泣いている様にしか聞こえなかった。
そして、その日、僕のお爺ちゃんが突然亡くなった。やっぱり、泣いてたんだと。
僕は泣きたくなるのを抑えてその時計を眺めていた。チクタクと揺れ動く振り子や針が僕の代わりに泣いてくれているんだと。
今は、もう動かない。ゼンマイを回す主が居なくなってしまったから、その時計も役割を終えて動かなくなったのだろう。
動かなくなった時計は今何を考えているのだろう。お爺ちゃんに会える事が嬉しいのか、それとも時間を告げる事が出来なくなって悲しいのか。
僕にはそれを知る術が無かった。時計はもう動かない。チクタクと振り子も揺れなければ針も動く事が無かった。
ある日、僕はお爺ちゃんの部屋へ入った。
昔と変わらず整えられた部屋。誰しもがお爺ちゃんの事を忘れられずにこのままにしている。
僕もそうだった。たまに掃除もする。その時に何気なく机の引き出しを開けると埃を被った小さなゼンマイが一つ、転がっているのを見つけた。
僕はそれを手に取ると柱時計の所へと赴き、昔見たお爺ちゃんの様子を思い出しながらゆっくりと時計の蓋を開けゼンマイを入れて回し始めた。
キリキリと鳴る音、揺れ動く振り子、再び動き出した時計。
その時計は、12の数字に針が止まった途端にゴーンと一回大きな音を鳴らして、止まった。
僕が再びゼンマイを回してもキリキリと言う音を鳴らして回る事が無かった。
振り子を揺らそうとしても、揺れ動く事が無かった。
その一回だけの響き、恐らくお爺ちゃんに会いたいと言う想いが強かったのだと思う。だから、自ら動きを止めてしまったのだと。
完全に動かなくなった時計はバラバラに解体されて、柱時計があった場所にはもう何も無い。
でも、僕にはそこに時計があった事を覚えている。忘れる事の無い大きな時計。
  1. 2010/12/16(木) 19:13:52|
  2. 二次創作小説
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